「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.64

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もしも私が「清水先生が座る席」に座ったとしたら。

つまり、患者ではなく、ドクターの席に座ったとしたら。

世界は、どんな風に見えるのだろうか?

私はそんなことを想像してみます。

扉が開く度に、別の患者が現れます。

つまり、扉が開く度に、別の物語が語られます。

清水先生の、精神腫瘍医の外来に来る患者は、

治ることなど、求めてくることはないでしょう。

生きることさえ求めてはいないかも知れません。

私がそうだったように。

がんは死ぬまでに時間を持つことができる病気です。

死と向き合うことに時間を持つことができる病気です。

自分をどう始末すれば良いのか?

患者は救いを求めてくるのです。

私がそうだったように。

清水先生は、そんな患者に寄り添って言います。

「あなたの物語を聴かせてください」

そうです。

清水先生の席からは、沢山の「物語」たちが見えます。

しかも、一つとして同じ物語などありません。

そして、それらは、

その人が「生きた証」の物語なのです。

どれもが眩いばかりに煌く「命の物語」です。

清水先生は3500を越える数の「命の物語」を、

聴いてきたのでしょう。

そして、人が自分の命の物語を語ることで、

レジリエンスの力を発揮して自ら救われる瞬間に

立ち会ったのかも知れません。

がん専門の精神科医精神腫瘍医

死と向き合う患者に寄り添うことは、

大変な努力が必要なことかも知れません。

けれども、辛いことばかりでは無いのかも知れません。

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