コントレイル.57
私は自分自身が「がん宣告」を受けて、精神的に適応できなくなった経験から、
「がん専門の精神科医」ともいえる「精神腫瘍医」の存在を多くの人に伝えたいと思いました。
一般の精神科医ではなく、
がんという病気、その治療と治療によって起こる心身の変化。さらには「転移」や「再発」に伴う心身の変化。そして、さまざまな鎮痛剤、安定剤、医療麻薬の知識。
それらを兼ね備える精神腫瘍医の存在は、あまりにも知られていませんでした。
二人に一人が、がんになる時代。
百年近く生きねばならなくなった時代。
誰もが、「考えてみれば、居て欲しいよね」と思う存在。
それが精神腫瘍医です。
そんな精神腫瘍医の存在を伝えたいことが、
私の残りの時間を使ってやりたいことです。
そして、もう一つ。
そんな精神腫瘍医清水研医師との対話の中で学んだ
「日本人の古来からの死生観」を伝えたい。
「日本人の古来から死生観」というのは、「知識」であり「情報」です。
「霊の存在を、信じるか、信じないか」は、信仰上のことなので、共感されなかったり、否定されることもあります。
しかし
「日本人は古来から、霊の存在を信じていたようです」
ということは、否定されません。
つまり、誰もが共有できることです。
共感しやすいことです。
自分が死を迎える時に、
自分は古来から霊の存在を信じて来た日本人である
ということは、私にとっては心の支えになりました。
信仰ではなく、知識ですからかもしれません。
さらには、
日本人は、死んだら遠い天国や極楽に行ってしまうのではなく、
死んだら、近くの「他界」から子孫を見守っていた
という知識を得た時に、私はとても安らかな感じを得ました。
その「知識」や「情報」を伝えたいと思いました。