5%の5年間.⒒ 死んだらどうなるのか?
「老いることも死ぬことも。人間という儚い生き物の美しさだ。
老いるからこそ死ぬからこそ、たまらなく愛おしく尊いのだ」
今年、大ヒットした『鬼滅の刃』の中の三百憶の男『煉獄杏寿郎』の台詞です。
武術の達人である鬼が、人間の武術の達人に『鬼にならないか?』と誘います。
鬼になることで、永遠の命を得ることができる
永遠の命を得て錬磨した武術を更なる高みに高めあおう
鬼が誘う理由は、自分と同等と認めた相手と切磋琢磨したいからのようです。
しかし、冒頭の台詞で煉獄さんは拒否します。
日本人独特なものかどうかは不明ですが、
逆説的な表現での強調が伝わりやすい気がします。
豊かな四季の変化に恵まれた日本の風土では、
移ろうものこそを、美しいと感じるようになります。
「花は咲いておもしろく、散ってめずらしい」
花の美しさを世阿弥はそう説きました。
鬼滅の刃の大ヒットした背景には、
日本人独特の死生観が反映しているのかもしれません。
死んだらどうなるかは分からない。
ただ、たとえ死んでも、
大切な人たちの胸の中では生き続けることだけは
体験を通して誰もが知っていることです。