「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

コントレイル81

「人は死んだらどこにいくのだろう?」 そんなことに思い巡らせていた私は、清水先生とのカウンセリングを受けながら自分の中を深く深く降りてゆくうちに、なんとなく「回答」のようなものに気づきます。 自分の存在が消えても、確実に受け継がれていくもの…

コントレイル80

痛みに耐える。 日本人の美意識としては、「さようならば」と、痛みに耐える姿こそが、美しいとされます。 昨日、私は顎の痛みで口が開きませんでした。 痛みに耐える。 ↓ 歯をくいしばる。 ↓ 眠っているうちは、歯ぎしりしてしまう。 ↓ 顎が痛くなる。 とい…

コントレイル79

消えた痛みはどこへゆくのか? 「僕たちは、この病院では、いつもは「治らない方」に医療麻薬をお出しします」 国立がん研究センター中央病院の緩和ケア担当医は、とても穏やかに話をしてくれます。 がんが不治である場合には、QOLつまり、患者や家族の「残…

コントレイル78

私は清水先生とで「人生でほんとうに大切なこと」つまり「人の本来の幸せとは何か」ということについて語り合います。 その中で「今」「今日」という言葉がキーワードになります 色は匂へど散りぬるを わが世誰ぞ常ならむ 有為の奥山今日越えて 浅き夢見じ酔…

コントレイル77

この世にし 楽しくあらば 来む世には 虫に鳥にも吾はなりなむ 生ける者 つひにも死ぬる者にあれば この世なる間は 楽しくをあらな (大伴旅人<万葉集>) この世が楽しければ、来世は虫や鳥でも構わない。 どうせ死ぬのであれば生きている間は楽しみたい。 …

コントレイン76

私は「わからないことは怖い」→「わかれば怖くなくなる」という仮説から、 「死」についての知識を習得することを思いつきました。 もちろん、清水先生の「死生観」という言葉がきっかけとなったことは間違いありません。 しかし、世界には、私たち日本人と…

コントレイル75

日本人には固有の死生観がある。 「死について、知らないから怖い」…。のであれば日本人の固有の死生観を知識として知ることで、宗教や信仰に頼ることなく、知性的に死を怖がらなくなるのではないか。 私は自分が立てた、上記のような「仮説」に対して、その…

コントレイル74

この痛みの原因は、転移ではないことから、放射線治療や抗がん剤治療によって寸断された神経や侵された神経が痛むのであろう、ということになりました。 その結果が分かるまでは半年程度かかりました。 ちなみに、その痛みは、5年後の2020年6月現在まで続い…

コントレイル73

「わからないことは、怖い」 このことは、全てのことに通じるかも知れません。 現在、世界に蔓延する「コロナ禍」も、相手が「未知のウイルス」という「わからない」 ことが、人々の恐怖を増幅しているようにも思えます。 当時の私が「わからない」ことは、…

コントレイル72

ここで、当時の私に対する清水先生のアプローチを振り返ってみます。 人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話 の中で、著者の稲垣麻由美さんが「第七話 がんになったおかげで生れ変わることができた」 では、私が精神腫瘍科…

コントレイル71

「死生観」という清水先生の言葉から私が思い浮かべたのは、能・謡曲のことです。 この事は、「人生でほんとうに大切なこと」稲垣麻由美著にも記されています。 人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話 親友に能楽師である…

コントレイル70

━100万年も しなない ねこ が いました。 100万回も しんで 100万回も 生きたのです。 という文で「100万回生きたねこ」は始まります。 ねこが死んだ時、ねこを可愛がっていた100万人の人たちは泣きましたが、 ねこは1回も泣きませんでした。 ねこは様々な人…

コントレイル69

竹内整一氏は、佐野洋子さんの「100万回生きたねこ」も、この著書の中で紹介しています。 かつて、我が家の本棚にあったこの絵本は、子どもたちの成長と何度かの引越しのために無くなっていました。 我が家の全員が読んでいた絵本ですが、私だけはその内容を…

コントレイル68

世界には、様々な別れの言葉がある中で、「さようなら」という別れの言葉は、 これまで生きてきた「生」を 「さようなら(さようであるならば)」と、立ち止まり確認し終えて、 これからの「死」を死んでいく。 という、日本人の特有な「死生観」を示してい…

コントレイル67

清水研先生と「日本人の死生観」を語る時、私はたまたま入院する時に手にしたこの本について話しました。 別れの言葉は、3つのタイプに分類されるようです。 ⑴神があなたと共に(Good-bye.Adieu,Adios) ⑵再会の約束(See you again,再見) ⑶お元気で(Farewe…