5%の5年間.ドラマでは語られることのない話 3
「進行性肺がん、5年生存率5%」という診断を受けて、
死を意識せずにはいられない日々を過ごしてきました。
「花は咲いておもしろく、散ってめずらしい」世阿弥
古語では
「おもしろい=趣がある、風流だ。素晴らしい」
「めずらしい=愛すべきだ。賛美すべきだ、素晴らしい」
と、若干の意味の違いがあります。
私は、「めずらしい」>「おもしろい」と感じたのは、
「花が散ることで完結する」
→「だからこそ、咲いていた過去(散った時点から遡った時間)が美しい」
と解釈したからです。
お能、中でも「夢幻能」は、「死者」=「物語が完結した存在」が主人公になります。
そして、その主人公には、何故か「勝者」が選ばれることは少なく思われます。
と、いうよりも圧倒的に「敗者」が主人公になるようなに思われます。
これは、いわゆる「判官贔屓」
≒「弱い立場に置かれている者に対して同情や哀惜を寄せてしまう心理現象」
からかもしれません。
これは日本人の美意識にも関わることかもしれませんが、
日本での「人気者」は、「勝者」よりも「敗者」のほうが多いように思います
敗者 勝者
何故、このようなことを考えたかというと。
「人生でほんとうに大切なこと」=「何者かになること」
ではない。ということが理解する過程だったからです。
ちなみに、人生でほんとうに大切なことは「人気者になる」事でもありません。
いや、自分が大切に思う人たちの中では「人気者になりたい」とは思いますが…。
やがて私は、「人生でほんとうに大切なこと」は、
「自分の物語を作り上げること」だということに、思い至るようになっていきます。