「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

コントレイル89

「星の王子さま」で、 愛しむことで特別な存在を得ることや、 誰かの特別な存在になることを知りました。 私の「人生でほんとうに大切なこと」は、 ようやくたどり着いた私なりの「死生観」なのだ。 あの頃の私は、そう思っていました。 しかし、今は少し違…

コントレイル.88

「何者かになる、ということは、 多くの人にとっての「特別な存在」になる、 ということなのでしょう」 私の説明を清水先生は納得してくれたようです。 「けれども「特別な存在」になることが、 「何者かになる」ということならば、 私には、何者かになる必…

コントレイル.87

7人の名医が語る「忘れられない患者」 http://www.asmss.jp/2019/syuuasahi0301.pdf 「おや、それでは私が千賀さんを選ばなかったら、 千賀さんは「何者」にはなれなかったということですか?」 清水先生は片眉を動かして尋ねてきます。 「そうですね。選ば…

コントレイル.87

「人生でほんとうに大切なこと」の談義はまだまだ続きます。 「手段が目的になる。というのは、よくあることです」 私は清水先生に笑います 「私は人は「何者かになる為に生まれてきたのだ」と思うようになってしまいました。 ヒーロー願望のようなものだと…

コントレイル.86

清水研先生との「人生でほんとうに大切なこと」談義は、坂本竜馬に飛びます。 人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話 「そうなんです。カッコいいんです」 私も応えます。 「世に生を得るは事を成すためなり。カッコいい」…

コントレイル.86

清水先生との「人生でほんとうに大切なこと」談義はまだまだ広がります。 人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話 「人間は幸せになるために生まれてくる」 宮沢賢治の「教え」は、私の生きる指針となりました。 おかげで、…

コントレイル.85

「しかし、機嫌が良い、というのは、別に「明鏡止水の境地」というわけではありませんので、機嫌はわりと簡単に悪くなります」 清水先生がうなずきます。 「簡単に良くなったり、悪くなったりするということは、「コントロールすることもできる」ともいえま…

コントレイル.84

自分にとっての「人生でほんとうに大切なこと」を、ようやく言語化できた時のことは、よく覚えています。 それは、去年の年末のこと、一年の最後の清水先生の外来の時間でした。 「先生、私の「ほんとうに大切なこと」というのは、「私の機嫌が良い」という…

コントレイル.83

清水先生と死生観について考えている時に出会った恩田陸さんには、 その他の作品でも「お世話になる」ことになります。 まさに、「夜のピクニック」の中の一節の通りに、 「もっと早く出会っていれば…。」 とも思われますが、「ちょうど良い、出会うべき時」…

コントレイル82

「千賀さんの精神状態が落ちついた頃の様子を話していただけますか?」 病気について他人と話すことが久しぶりな上に、zoomというTV会議越しであったことからか、私は少し緊張していました。 「治療が、治験も含めた治療が全て終わった頃、酷く痛むようにな…