「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル.83

蜜蜂と遠雷(上) (幻冬舎文庫)

 

清水先生と死生観について考えている時に出会った恩田陸さんには、

その他の作品でも「お世話になる」ことになります。

 

まさに、「夜のピクニック」の中の一節の通りに、

「もっと早く出会っていれば…。」

とも思われますが、「ちょうど良い、出会うべき時」に出会っているのかも知れません。

 

「化粧品会社のコピーにあるだろう。  一瞬も、一生も、美しく。

 たぶん、一瞬というのは永遠なんだ、その逆もしかり。

 最上の一瞬を作る瞬間は、活けている僕も最上の一瞬を生きていると実感できる。

 その瞬間は永遠でもあるんだから、永遠に生きているとも言えるね」

 

直木賞本屋大賞をダブル受賞して、映画化やアニメ化もされたベストセラー小説「蜜蜂と遠雷」から主人公の一人風間塵と華道家富樫との会話です。

 

活け花とは、自然界の中にあるものを切り取ったり、折ったりして、生きているかのように見せる。ある意味、殺生をしてわざわざ生きているように見せるのって、矛盾を感じませんか?

 

というピアニスト風間塵の問いへの華道家の答えです。

 

「殺生してわざわざ生きているように見せる」

 

「一瞬は永遠。逆もまたしかり」

 

残念なことに「痛む時間」というものを考える時に、

いつも蘇ってきます。

蜜蜂と遠雷(下) (幻冬舎文庫)