「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

レジリエンス外来.7

死ぬ時に、人は走馬灯のように人生を振り返るとききます。 その「走馬灯」をきちんと語ることが、 「現在なぜ自分が混乱しているのか」 を理解する手がかりになるということなのでしょうか。 そして、「なぜ自分が混乱しているのか」を理解したならば、これ…

レジリエンス外来.6

レジリエンス外来で語る「私の物語」とは、 「病気になる前はどんなことを大切にしてきたのか」 そして 「病気になって、何を失ったと感じているのか」 を、言葉にしていきます。 これは、いわゆる「障がいの受容」と同じような構造といえるかも知れません。…

レジリエンス外来 5

レジリエンス外来を受診する前に、 私は半年ほど精神腫瘍科の一般外来を、隔週で受診していました。 私は新薬開発の治験で、抗がん剤の点滴をうけるために、隔週でがんセンターに通院してきました。 その折に、精神腫瘍科の一般外来を受診したわけです。 整…

レジリエンス外来.4

それまで私が受診してきた「精神腫瘍科一般外来」は、 患者が困っていることを緩和すること が、目的のようです。 ですから、「眠れません」と訴える患者にはクスリを処方する。 など、患者の要求に「対処する」ための「応急処置の場」であると、私は理解し…

レジリエンス外来.3

レジリエンス外来は、プログラムです。それで精神腫瘍科の一般外来とは異なり、清水先生は「がん体験後の二つの課題」を説明してくださいます。 「ひとつ目の課題は、悲しみ、怒り、苦しみという感情からめをそむけず、ちゃんと悲しむ、ちゃんと怒る、ちゃん…

レジリエンス外来.2

「肺がんです。5年生存率5%」 2015年7月のあの日。 国立がん研究センター中央病院呼吸器科で、そう告げられた時に、私の頭に浮かんだのは、マンションのエレベーターでした。 「棺桶は縦にしか乗らない」 だから、病院で死んで、そのまま斎場に運んでくれ。…

はざまのカミサマ

この世とあの世の」はざまにある「はざまの世」 清水先生との時を重ねることで得た「死生観」を物語にしてみました http://syukugami.hatenablog.com/entry/2019/06/09/%E3%81%99%E3%81%8D%E3%81%BE%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%83%9E_%EF%BC%91

レジリエンス外来 1

「今の5年生存率は5%。手術はできません。抗がん剤と放射線を同時に施す化学療法で、5年生存率は20%程度でしょう」 その治療が終わりました。 私は治ることが無い病気になってしまいました。 「私のこれからの短い人生は、病気に染められてしまうだろう」 …

レジリエンス13

ドラマならば、例えば治療が終わったら ハッピーエンドなり、バッドエンドなり、 物語は終わります。 しかし、生きている限り、人生は終わりません。 なにしろ「実写版」ですからね。 どんなに痛くても、 寒けがしても、 冷や汗をかいても、 眠れなくても 人…

レジリエンス12

痛みを堪えることを意味がない。 医療麻薬を使って痛くない時間を作ることは、 この4年間、ほんとうに必要なことでした。 それは今も同じです。 医療麻薬を使わなくては消えない痛みを、 私は抱えています。 医療麻薬の使用をやめるためには、時間がかかりま…

レジリエンス11

クスリと身体の相性は、おそらく個体ごとに違います。 ですから、私とクスリとの相性は私だけのものでしょう。 オキシコドンというら怪獣のような名前のクスリと四年付き合いました。 痛みを消すために飲んできたオキシコドンに、私は依存してしまっていまし…

レジリエンス10

「クスリの離脱を始めることになります」 私は清水先生に、「本日のテーマ」を告げます。 清水先生の外来を受診する時に、私はその回の話題を決めて、そのテーマに沿ってカウンセリングを受けることにしています。 もっとも、たいていは、私の話はまとまらな…

レジリエンス 9

清水先生は、こんな話かたをします。 「成長と呼ぶ人もいます」 そして 「成長と呼ぶことを、嫌う人もいます」 清水先生は、一体、どれだけの「死に直面した話」を聞かされたのでしょうか? しかも、その話はどれ一つとして同じ話はないのです。 「答えは私…

レジリエンス 8

「成長という言葉を嫌う人もいます」 清水先生が話しを続けます。 「もう、前の人生とは違う。元には戻れないのだから、成長ではない、と」 なんだか、わかる気がしました。 ほとんどの人は「死なないつもり」で生きています。 それが、死と直面してしまう。…

レジリエンス 7

レジリエンスは「元に戻る力」という定義ですかね。 マイナスからゼロに戻る力。 ならば、ゼロを突き抜けて、プラスに至った場合は、 どういえば良いのか? 「成長というのでしょうかね」 清水先生は、いつでも正解を教えてくれるわけではありません。 そも…

レジリエンス 6

純さんはとてもはにかみ屋さんの保健師さんです。 2016年10月に「人生でほんとうに大切なこと」という本が出版されました。 純さんは、その本を読むことで、私と著者の稲垣麻由美さん、そして清水研先生のことを知ったそうです。 さらに純さんは鎌倉で開催さ…