レジリエンス外来.2
「肺がんです。5年生存率5%」
2015年7月のあの日。
国立がん研究センター中央病院呼吸器科で、そう告げられた時に、私の頭に浮かんだのは、マンションのエレベーターでした。
「棺桶は縦にしか乗らない」
だから、病院で死んで、そのまま斎場に運んでくれ。
そうすれば、余計な負担も減る。
なにより、棺桶を縦にして運ぶ方も辛いだろう。
そうだ、斎場はアクセスが良い場所を選ぼう。
そんなことを、妻に話していました。
夫のがん宣告。
寄り添って、頼りきって生きてきた夫のがん宣告。
それを黙って聞いた妻に、私はエレベーターの話をしていました。
私たちは混乱していました。
「あなたは5年以内に95%の確率で死にます」
この国を代表する専門医に、そう断言されました。
そんなことは、聞いたことはありませんでした。
そんなことを、考えたこともありませんでした。
だから、混乱していました。
とても、混乱していました。
私はがん宣告の時からの「物語」を語ります。
すると清水先生から「ワーク」の宿題が出されます。
そこには「どのようなご家族のもとに生まれどのように育てられたか」とという質問か書かれていました。