「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.3

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レジリエンス外来は、プログラムです。それで精神腫瘍科の一般外来とは異なり、清水先生は「がん体験後の二つの課題」を説明してくださいます。

「ひとつ目の課題は、悲しみ、怒り、苦しみという感情からめをそむけず、ちゃんと悲しむ、ちゃんと怒る、ちゃんと苦しみ。つまり、自分を受け入れることです」

がんになる、というのは、悲しい体験です。

何故、自分はがんになってしまったのか。

何故、自分は治らない病気になってしまったのか。

ほとんどの人は、その事実を受け入れることができません。

だから、悲しみ、怒り、苦しみます。

しかし、悲しみ、怒り、苦しむことで、人は自分の状況を理解することができるようになります。

きちんと悲しみ、怒り、苦しむことでしか、自分ががんという病気になってしまったことを受け入れることはできないのでしょう。

涙を止める方法が「たくさん泣くこと」で、あるように。

きちんと悲しみ、怒り、苦しむことができると、やがて、がんになったことを、悲しんでも、怒っても、苦しんでも、仕方がないことに気がついていきます。

がんになることは、自分ではコントロールできないことです。自分ではコントロールできないことを、悲しんでも、怒っても、苦しんでも仕方ない。

それよりも、自分には時間がない。

「喪失」と向き合うことができると、人はそのことに気がつきます。