「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル.39

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とはいえ「死生観」がほんとうに必要だと思いはじめたのは、清水先生との対話を一年近く重ねたからです。

がんは私の人生の一つのエピソードに過ぎない。

そうです。

ほんとうは「死生観」を持っていても、いなくても、

死ぬことに変わりはありません。

私が死んだ後も世界は変わらない。

ただ、私が幸せに死ねば、

私が幸せに死んだ。

そう、私の愛した人たちが感じてくれたとしたら。

私が死んだ後の世界は、少し変わります。

なにしろ、私の愛した人たちは、心優しい人ばかりなのです。

だから、私が死んだら、彼らは悲しんでしまうことでしょう。

けれども、私が幸せに死んだとわかれば、彼らの悲しみも変わります。

救われた気持ちになってくれるでしょう。

「死生観」を持って死ぬということは、死ぬ覚悟ができた上で死ぬことだと思っています。

だから、私には「死生観」が必要なのです。

心優しい友人たちに、余計な悲しむを与えないために。

私は死んでも、彼らに好かれたいのでしょうね。