「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

5%の5年間.⒖ 死んだらどうなるのか?

免疫学者であり能作者でもある多田富雄氏の著作『脳の中の能舞台』(新潮社)の中に、『日本の伝統』という小文があります。 『日本の芸能の中には、『老い』という主題が見事に結晶となっている。 能の『翁』はいうまでもないが、『高砂』や『老松』など祝…

5%の5年間.14 死んだらどうなるのか?

人は必ず死ぬ。 人が死ぬということは、 その人が誰かと共有した時間や感情も消えてなくなる、ということ。 それは、自分の中の時間や感情を失ってしまうということ。 それでも、自分と共有した時間や感情を、憶えてくれる人がいたとしたら。 好きでもない人…

5%の5年間.13 死んだらどうなるのか?

「5年以内でこの世を去るのだから、その覚悟をしなくてはならない」 その頃の私は、『何者』かになれずに死ぬことを、とても無念に思います。 ─しかし、『何者』とは何か? 私はそもそもの疑問を抱きます。 例えば、歴史に名を遺す。 歴史に名が遺るのであ…

5%の5年間.12 死んだらどうなるのか?

「命に終わりあり 能には果てあるべからず」 能聖と称される世阿弥の言葉です。 人の死について、色々と考えることができたのは、 肺がんになって自分の死と直面したおかげです。 死んでゆく者にとって、死になんの意味があるのか。 どんな死にざまをしよう…