5%の5年間.13 死んだらどうなるのか?
「5年以内でこの世を去るのだから、その覚悟をしなくてはならない」
その頃の私は、『何者』かになれずに死ぬことを、とても無念に思います。
─しかし、『何者』とは何か?
私はそもそもの疑問を抱きます。
例えば、歴史に名を遺す。
歴史に名が遺るのであれば、
『悪名は無名にまさる』とも云うのだから、
売名行為のような事をして『何者』かになる。
という手段もあります。
─しかし、我が悪名は、残す者達を苦しめることになる。
さすがに常識的に考えれば、『悪名は無名にまさる』と云うことは
生きてその汚名を返上できる場合に限ることがわかります。
また、仮に有名人になったとしても
死んでしまう私には、あまり意味があるとも思えなくなります。
例えば、好きでもない人から惚れられるとして、
ありがたくは思うものの、それほど嬉しくはないように思います。
自分が好きな人から好かれる
これが一番の幸せでしょう。
つまり、『何者かになる=功成り名遂げる』は、
死んでゆく私にとって、何としても成し遂げたいことではない。
私はようやくそのことに気づきます。