「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

5%の5年間.14 死んだらどうなるのか?

人は必ず死ぬ。

人が死ぬということは、

その人が誰かと共有した時間や感情も消えてなくなる、ということ。

それは、自分の中の時間や感情を失ってしまうということ。

 

それでも、自分と共有した時間や感情を、憶えてくれる人がいたとしたら。

好きでもない人に好かれるのではなく好きな人に、より好きになってもらう。

 

死を前にした時、残りの時間の使い方はシンプルです。

 

好きな人と一緒に過ごす時間を増やす。

ということは、1日は24時間と決まっているので

必然的に、嫌いな人とは会わないようにする。

ということになります。

 

嫌いな人は自分を磨くための『鏡』であるから

嫌いなでも魅力を見つけ出して、付き合えるようになる。

その結果、成長できる。

 

かつては、そんなことを目標にしていました。

しかし、残念ながら時間がない。

強いて嫌いな人の中で、嫌うことをやめて好きになる努力をする

とするならば

その相手は『自分』だけです。

 

自分のことは、せめて自分だけでも好きでいてあげる。

どうせ死んでゆくのだから、

せめて自分を好きになって死にたいものです。

 

これは人生でほんとうに大切なことだと思います。

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話