コントレイル81
「人は死んだらどこにいくのだろう?」
そんなことに思い巡らせていた私は、清水先生とのカウンセリングを受けながら自分の中を深く深く降りてゆくうちに、なんとなく「回答」のようなものに気づきます。
自分の存在が消えても、確実に受け継がれていくものがある。そう思うようになっていた。
そう千賀さんが思えるようにいなったのは、親友である能楽師、金井雄資さんの存在も大きかった。
金井さんは父から能楽という技芸を継ぎ、息子を能楽師にすべく育てている。
心から心に、体から身体に技芸を伝えている。
千賀さんは学生時代からその親友を見続けていた。彼の父上の舞台、彼自身の舞台、そして、彼の息子の舞台を見ることができた。
能舞台の上では「命」が、父上の、彼の、息子の中で脈々と生き続けていた。その「命」の姿を見ていたのだった。
さらに金井さんは、能楽という伝統芸術は、この国の生きとし生けるもの、あらゆる命の「生命賛歌」であることを教えてくれた。
稲垣麻由美著「人生でほんとうに大切なこと」
そんな「生命賛歌」を紡ぐ能楽師、とりわけ「日本能楽界のオールスター」ともいえる能楽師たちの「新型コロナウイルス終息祈願https://youtu.be/ljnAO89KDyU」が届きました。
もちろん、我らが金井雄資師も登場します。
生命が受け継がれてゆく中で、それを讃える歌は必ず歌われます。
全ての生命に聞こえるような生命賛歌です。
死者の無念を沈める鎮魂歌であり、
死者の在りし日の生命の躍動を讃える生命賛歌。
鎮魂歌でありながらも、生命賛歌でもあるという矛盾と逆説の上で成り立つ夢幻能。