「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.4

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それまで私が受診してきた「精神腫瘍科一般外来」は、

患者が困っていることを緩和すること

が、目的のようです。

ですから、「眠れません」と訴える患者にはクスリを処方する。

など、患者の要求に「対処する」ための「応急処置の場」であると、私は理解しました。

患者の苦痛を緩和するには、患者の苦痛を理解して、それを緩和するための医学的に支援する。

その支援は、カウンセリングであり、クスリの処方であるわけです。

もちろん、繰り返し対処することで、完治することもあるかもしれません。

そもそも、肉体的な苦痛に比べて、精神的に苦痛であるということは、治癒したかそうでないかを見極めることが難しいことに思われます。

それに対して「レジリエンス外来」は、「レジリエンスの力を高めることを目的とする」わけですから、まずは、患者に自分が「マイナスの状態にいること」を理解させなければならないのです。

マイナスの状態から、ゼロの状態まで「復元する力」こそが「レジリエンスの力」なのですから。

しかし、自分が精神的にマイナスの状態にいることを

自覚することは、意外と難しいことです。

それは、がん宣告を受けて、死と直面するような状況でさえ、いえ、そんなギリギリの状態であるゆえに、

自分が精神的にも弱っていることを認めることは、

簡単なことではありません。

少なくとも私にとっては、難しいことでした。

がんになって身体がポンコツになった。

かててくわえて、心までもポンコツになってしまった。

そう認めることは、難しいことでした。