「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル.86

宮沢賢治童話全集

 

清水先生との「人生でほんとうに大切なこと」談義はまだまだ広がります。

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話

 

「人間は幸せになるために生まれてくる」

 宮沢賢治の「教え」は、私の生きる指針となりました。

 おかげで、私は「自分探し」をする必要がありませんでした。

「そんな私は大学生になって、久しぶりに

 「人間は何のために生まれてくるのか?」

 という問いに出会いました」

 

 清水先生の眉が少し上がります。

 

司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の中で、

 坂本竜馬が後輩志士に尋ねるくだりがあるんです。

「人間は何の為に生まれてくるか知っちょるか?」と。」

 私は小さく鼻を鳴らします。

「竜馬の答えは、

「人が世に生を得るは事を成す為なり」 

 人は自分の志を成し遂げ為に生まれてくる。

 たとえ成し遂げることができなくとも、死ぬまで志のほうを向いて生きていたい。

 

 というものでした。」

「カッコいいものですね」


清水先生が微笑みます。

竜馬がゆく(一) (文春文庫)