「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル.5

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「人間は幸せになるために生まれてくる」

宮沢賢治の「教え」は、私の生きる指針となりました。

おかげで、私は「自分探し」をする必要がありませんでした。

「そんな私は大学生になって、久しぶりに「人間は何のために生まれてくるのか?」という問いに出会いました」

清水先生の眉が少し上がります。

司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の中で、坂本竜馬が後輩志士に尋ねるくだりがあるんです。「人間は何の為に生まれてくるか知っちょるか?」と。」

私は小さく鼻を鳴らします。

「竜馬の答えは、

「人が世に生を得るは事を成す為なり」 

人は自分の志を成し遂げ為に生まれてくる。

たとえ成し遂げることができなくとも、死ぬまで志のほうを向いて生きていたい。というものでした。」

「カッコいいものですね」

清水先生が微笑みます。