コントレイル.60
当然のことですが、私は一人の肺がん患者でしかなく、
がん患者を代表する者などではありません。
また、患者会などにも属してはいないので、
私が知るがんの情報は乏しいものでしかありません。
しかし、清水研さんは、
日本の臨床精神腫瘍学を代表する医師である。
と言っても過言ではないでしょう。
なにより、4000人を越える「死と対峙する人間」と
対話した人間としては唯一無二の存在かも知れません。
以前も書きましたが、
救命救急の医師のみなさんは、「予期せぬ死」に直面した患者の命を救う治療することになります。
それに対して精神腫瘍医は、「予期できる死」と対峙する患者の痛みを和らげる為に寄り添っていきます。
私は救急医と精神腫瘍医の優劣を語っているのではなく、精神腫瘍医の特異性と、その精神腫瘍医のなかでも、清水研先生の特異性を語っています。
そんな清水研先生の「質問」によって引き出された
私の「言葉」には、なにか意味があると思います。
それは、清水研先生の「質問」は
4000人を越える「死と対峙する人たち」の
4000個を越える「物語」から導き出された。
そう思えるからかも知れません。
だからこそ、
私は清水研先生の前で語った言葉。
清水研先生の質問への回答の言葉。
それらを記録したいと思うのです