「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル.59

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「花とは、咲くによりて面白く、散るによりてめづらしき也」

能楽を大成した世阿弥の言葉です。

花が咲くことと散ることを一対に語っています。

この言葉は、「世阿弥の美学」をあらわしている。

そう、伝えられています。

しかし、私は思うのです。

この言葉は、世阿弥が古来からの「日本人の美学」を読みとったものではないか。と。

平安の頃、花といえば、梅を意味したといいます。

冬を破って咲く梅は花が可憐で香りが豊かです。

しかし、いつしか、花といえば、桜を意味するようになります。

桜は、咲いてよし、散ってよし。と、いわれます。

桜の花が、「花」を意味するようなった頃、

日本人のひとつの美学が固まったのかもしれません。

そして、それには武士道の存在が関係しているように思います。

もちろん、武士の公式の芸能である能楽も。

やがて

「花びらは散る。しかし、花は散らない」

という言葉もうまれます。