コントレイル.58
「日本を取り囲むさまざまな民族でも、
死ねば途方もなく遠い遠い処へ旅立ってしまうと
いう思想が、おおよそはいきわたって居る。
独りそういう中に於いてこの島々にのみ、
死んでも死んでも同じ国土を離れず、
しかも故郷の山の高みから、
永く子孫の生業を見守り、
その繁栄と勤勉とを顧念して居るもの
と、考え出したことは、
いつの世の文化の所産であるかは知らず、
限りもなくなつかしいことである」
民族学者柳田国男の「魂の行くへ」という文章に出会った時に、日本人は古来から、死んだ後は、仏教の「極楽や地獄」、他の宗教の「天国」という遠い処ではなく、死んでも死んでも魂は、故郷の山から子孫を見守ると考えていたのだろうと、想像することができました。
私は「信じた」のではなく「知った」のです。
この「情報」を他の人たちと共有したい。
他の人たちも私に共感するかもしれない。
私はそう考えました。