「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル.53

 

少し先を急ぎ過ぎたようです。

 

実は「人生でほんとうに大切なこと」で精神腫瘍科を知ったものの、タイミングが悪くなかなか受診の機会に恵まれない方からも、「お能の死生観」に興味あるとのメッセージをいただいたもので、先走りました。

 

「わからないことは、怖い」

このことは、まさに今の新型コロナウィルスに対する私たちの姿ですが、「死後の世界」についても同様です。

 

人は「死」についてわからないから怖いのです。

 

ですから、精神腫瘍医は、「死の恐怖」を整理して理解する手助けをします。

 

例えば、死ぬのが怖いかの理由は、

「遺された妻子が路頭に迷うから」だったりします。

 

「死んだら自分は消滅してしまうのではないか」

という恐怖もあります。

 

私はあまりスピリチュアルなことは好きではありません。

 

がんという病気を巡るスピリチュアルなことはほんとうに多く、その結果、治療の遅れから残念な結果になってしまった例を噂に聞きます。

私と同じ時期にがんが発現したある有名人は、民間療法に走って標準治療を受けることが遅れた為に亡くなったと聞きます。

 

ところで多くの日本人は、「無神論者」だといいます。

しかし、初詣に神社仏閣で頭を垂れ、お盆やお彼岸には墓参りに行きます。

多くの日本人にとって「人は死ねば霊になる」ということは、受け入れ易いことでしょう。

 

さて、それでは人は死んで霊になったら、何処に行くのか?

 

民俗学者の柳田邦男は、近くの山や海などにある「他界」にとどまる。と、考えていました。

 

つまり、遠い「あの世」ではなく、「この世」と「あの世」のはざまのような処から、子孫を見守っている。

と。

 

どうやら日本人の古来からの死生観とは、このように

 

人は死ねば霊になる。

霊は「他界」にとどまり子孫を見守っている。と考えたようです。