「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル.37

 

もしも、私が出逢った精神腫瘍医が、清水先生でなかったならば…。

 

現在は違ったものになっていただろう。

 

そのことは断言できます。

 

「ああ、この人は自分のような人間を毎日みているのだ」

 

清水先生との初対面の場面で、

稲垣先生は「人生でほんとうに大切なこと」の中で、

私の次の言葉を拾い上げてくれています。

 

「自分のような人間」

というのは、

「死を覚悟した人間」

という意味です。

 

清水先生と対面した人ならば同感してくれると思います。

 

清水先生は、不思議な佇まいを感じさせます。

 

今にして思えば、清水先生が対話を重ねてきた人々、

沢山の「自分のような人間」との対話が、

清水先生の佇まいを形作っているのでしょうか。

 

とにかく、私はようやく話し相手と出逢った気持ちになりました。

 

そのことは、今でもはっきりと憶えています。