「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.56

「千賀さんが、シンデレラか白雪姫か、という問題ですが」

と、応援団長こと大澤さんが雑なまとめ方をします。

この大澤さんは、まさに「応援の名人」なのです。例えば

「私が事務局をやりますから、最年長組長さんが会長をやってください。千賀さんの奥さんと金井さんは顧問、あとのリッキーとかが会員でスタートします」

と、すらすらすらりと、「千賀さんを応援する会」という恥ずかしい名前の団体?を作ってしまいました。

(応援する会のはずが「応援団長」になるのはご愛敬)

そして、千賀夫婦が稲垣先生に、本の企画を相談する際にも同行してくれました。

その応援団長、大澤さんが私に尋ねます。

「そうそう金井さんは、何か言ってますか?」

「そういえば、大澤さんが金井さんに初対面の時に、「お能とは、ズバリ、何ですか?」って質問したのはこの店のこの席でしたね」

私は簡単に脱線してしまいます。

「はい。「生者と死者との邂逅です」とね、かいこうの字まで説明してくれました」

大澤さんも懐かしく語ります。

「そういえば、金井さんは初対面の私たちに、別れ際に「千賀をよろしくお願いします」って、頭を下げていましたね」

 しみじみと割り込んでくるのは「会長」です。 

「私たちも、「このお方に頼まれたら、千賀さんによろしくしなきゃ、って思ったものです」

「やっぱり、金井さんはスターって感じですよね」

こちらは最年少団員のリッキーです。

「まてよ、スター金井や応援団のみんなに守られてる「お姫様キャラ」だから、私はシンデレラか白雪姫なのか?」

それはさておき、私が解説を始めます。

「千賀のシンデレラ物語じゃ、出版出来ないんでしょうね。なにしろ、千賀は「無名」ですから」

国立がん研究センターの看板が無ければ、清水研さんも無名。稲垣さんも無名。金井さんでさえ、世間的には有名人とはいえません」

「そして有名人の物語でなければ、商業出版は出来ない。有名人の物語ならば、世間の人は知りたいと思う。つまり、売れる」

「では、私たちの手持ちのカードで世間の人が知りたいと思うものは何か?」

「それは精神腫瘍医。いや、がん専門の精神科医です」

「だから、清水研先生が、さまざまな患者と対話することで、がん専門の精神科医の姿を描いたわけですね」

「そして何より「無名」の人たちの一人ひとりに「物語」があることも描かれています」

「それぞれに「ほんとうに大切なこと」があることもね」

「なるほど、清水先生のビビデバビデブーとか、千賀さんのはいほーの話ではない、ということですね」

「さすがは稲垣先生!」

「そりゃあそうさ。なんたって、私たちが選んだ「文筆家」だからね」

「いや、清水能子さんが凄いのかも」

タイトルは

「人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話」

著書は、稲垣麻由美

この本が、未来に繋がります。

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