「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

5%の5年間. 5  死ななかったらどうしよう 

2015年の8月に「肺がん5年生存率5%」の診断を受けた私は

同年9月から2ケ月間、入院しての化学療法(抗がん剤投与+放射線照射)

さらに、2015年11月から2016年10月まで、

通勤しながらの24回の新薬抗がん剤治験に参加していました。

 

「できる治療は全てやった」私は、「生存率5%の4年間」を生きることになります。

 

ところで、「通勤しながらの」、と書きましたが、私の職場復帰は容易ではありませんでした。

 

それというのも、退院後、入院中には感じていなかった「痛み」が発生していたからです。その痛みも医療麻薬を用いても沈静化できないほどの痛みだったのです。

とはいえ、その痛みの原因はがんの転移によるものではなく、化学治療によって傷ついた神経の痛みであることがわかりました。

「がんは確かにここにいるのだし、身体の中心部の深い場所の痛みは、

 やはり死を連想させます」

 と、当時の様子が稲垣麻由美さんの著作の中で、以下のように記されています。

 人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話

 

そんな痛みを抱えながらの復職、職場復帰は、大きな選択でもありました。

なにしろ、当時の私の主観では、あと4年しか時間が無いのです。

残された時間を悔いなく使うにはどうすればいいのか?

正しい選択ができるだろうか?

私自身も悩みましたし、私を支えてくれた人たちも悩んでいました。

「千賀さんを職場に復帰させるのが正しいのか、悩みました」

後に私の応援団長こと大澤健次さんからそんな告白を受けましたが、

当時の私にとって、4年以内の死は、それほど確実な「近未来」だったのでした。

 

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話