「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

5%の5年間 5 死ななかったらどうしよう

もしも、友達が、しかも親友が、5年生存率5%との宣告を受けたら。

しかも、それは占いや予言の類ではなく、統計解析の結果だとしたら…・

そして、その当人がその宣告を受け容れて『死を覚悟している』としたら。

 

私の親友だちは、そんな難問に直面してしまいました。

そして、彼らの出した結論は、『やりたいようにやらせる』でした。

そして、『出来る限りの手助けをする』でした。

 

まず、私が望んだことは、『働けるうちは働きたい』ということでした。

 

勿論、『家族との時間を大切にする』=『仕事を辞める』という考え方もあります。

なにしろ、あと4年以内に死ぬ確率は95%~80%なのです。

まさに、限りある時間を家族との時間に充てるという考えはとても魅力的でした。

とはいえ、『残された時間を家族と共に過ごすことが、家族にとって幸せか?』

というと疑問が残ります。

 

どちみちあと4年しかない私の人生に対して、家族のには、何倍もの時間があります。

そして、最も重要なポイントですが、私の幸せは家族が幸せであることなのです。

 

そこで、家計の大黒柱である私が家族の幸せのためにできることは、

仕事をして稼ぐことになります。

とはいえ、私も会社勤めの身です。会社に迷惑をかけることはできません。

そこで、『がん転移』をトリガーとすることにしました。

つまり、がんの転移が発現するまでは働く。というルールです。

 

しかし、がん転移以外に、私の就労を妨げるものが登場してきました。

それこそが、医療麻薬でも抑えきれないほどの『痛み』でした。

 

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話