「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル99 コロナ禍

BORDER Blu-ray BOX

「人は死んだら、どこにいくのだろう。」

 

 肺がんの宣告を受け容れた時、私が考えたことはそのことでした。

 朝、目覚める時に、「あ、まだ生きてた」と思っていた時のことです。

(この感覚は今もありますが、シンドイのでだんだん気にならないようになります)

 

新型コロナウイルス肺炎の恐怖とは、

死に至る確率ではなく、死に至る時間が短いことです。

 

がんという病気の致死率が、どれだけ高くても

重症になるやおよそ十日足らずで死に至る病ではありません。

 

しかも、を病んだ経験がある者にとって、

呼吸が困難になるという恐怖は忘れられません。

 

日頃は無意識に行っている「呼吸」を

運動として意識して行わなければできなくなる。

日常生活空間に居ながら「溺れてしまう」

それだけでもパニックに陥りそうになります。

 

病気が発現する前に観ていたテレビドラマ「BORDER」で、

主人公は頭を銃で撃たれい一度死んで生き返ります。

その後、彼には「死者と話ができる」という能力が発現します。

その能力を犯罪捜査に用いて「悪を裁く」という展開なのですが

正義と悪のBODERをいつしか踏み越えてしまう。

というドラマでした。

(全話録画してあり今でも繰り返して観ています)

そのドラマのキャッチコピーが「人は死んだら、どこへ行くんだろう」

 

死んだらゴミになってお終い。という考えもあります。

死んだら、残した大切な人を見守る。という考えもあります。

ちなみに、このドラマ(フィクション)の中では、

荼毘にふされるまでは「この世」にいて、成仏して「あの世」に行く。

という設定でした。

 

 そして、私が出した答えは、

「正解はなんであれ、私は残した大切な人を見守る」

 というものです。

 

「死んだら、どこに行くのか」

 について、私の自由になったり、私が選択できることは無いでしょう。

 そうであるならば、

「自分で決めれば良い」

 と思い至ったわけです。

 

その背景には、清水先生から教わった

「コントロールできないことを、コントロールしようとしない」

という考え方があったことは、いうまでもありません。

 

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