コントレイル.56

「人間は、一日一日をよく生きながら、しかも同時に、
つねに死に処する心構えの用意を続けなければならない。
私は、生命をよく生きるという立場から、
死は、生命に対する「別れのとき」と考えるようになった。
立派に最後の別れができるように、平生から、
心の準備を怠らないように努めるのである」
これは、がんに直面して生きて死んだ、宗教学者の岸本英夫の言葉です。
死生学を学ぶということは、
このような言語化された「死生観」に触れることでもあります。
しかし、清水先生は、患者たちとの対話の中で、
「言語化できない死生観」に触れたことでしょう。
人は思いの全て、考えの全てを言語化できるわけではありません。
「文字は月をさす指である」
というのは、空海の言葉だったでしょうか。
文字は、言葉は、月=真理をさす指でしかない。
言葉はとても便利なものです。
しかし、言葉は万能とはいえません。
それでも、私たちは何とかして、誰かに思いを伝えるために、
言葉を紡ぎます。言語化を試みます。