「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル.56

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「人間は、一日一日をよく生きながら、しかも同時に、

 つねに死に処する心構えの用意を続けなければならない。

 私は、生命をよく生きるという立場から、

 死は、生命に対する「別れのとき」と考えるようになった。

 立派に最後の別れができるように、平生から、

 心の準備を怠らないように努めるのである」

 

 これは、がんに直面して生きて死んだ、宗教学者の岸本英夫の言葉です。

 

 死生学を学ぶということは、

 このような言語化された「死生観」に触れることでもあります。

 

 しかし、清水先生は、患者たちとの対話の中で、

 「言語化できない死生観」に触れたことでしょう。

 

 人は思いの全て、考えの全てを言語化できるわけではありません。

 

 「文字は月をさす指である」

 というのは、空海の言葉だったでしょうか。

 文字は、言葉は、月=真理をさす指でしかない。

 

 言葉はとても便利なものです。

 

 しかし、言葉は万能とはいえません。

 

 それでも、私たちは何とかして、誰かに思いを伝えるために、

 言葉を紡ぎます。言語化を試みます。