「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.44

 

清水先生の外来受診は、前回の受診してからの心象の風景を私が語ることが多かったです。

 

 

そもそも、レジリエンス外来を卒業して、既に精神的には安定を取り戻した私が、清水先生の外来を受診するのには二つの理由があります。 まず、私の精神が安定していることの確認。 一度でも死と直面したら、もう、死なないつもりで生きていくことは出来ません。私の精神は不安定になりがちです。その精神の安定の確認が受診の理由の一つ。 そして、二つ目は、絶望の淵を覗き込んでいた私が、いかにして希望の星を望み見ることになったかを言語化したい。と、いう希望からなのです。

そうです。

普通の人である私に出来たことです。

他の人にできないはずはありません。

なんとか言葉にして、沢山の人に伝えたい。

 

実は、私としては、 日本古来の「死生観」がキーワードではないか、 と思っています。

草木国土悉皆成仏。

あらゆるものは、仏性を持つ、

ゆえに、あらゆるものは成仏できる。

いえ、それよりも、

何もかも白黒の区別ができるものではない。 白黒の間の灰色。この世は灰色のものが多い。

さらには、清流に恵まれたこの国だからこそ

「水に流して終わりにする」という「始末」の付け方。

 

良い悪いはさておき、 生まれて育った国の文化からなる「死生観」のおかげで、 私も灰色になることできました。

うつむいていた視線を、180度巡らすことができました。

 

その軌跡を、「精神腫瘍学」というアメリカ生まれの科学の言葉で表すことができたら。誰にでも伝えることができるでしょう。

 

私は清水先生との時間を、「セッション」というようになりました。