「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.43

 

今日は午後休をとり、清水先生の外来を受診しました。

 

食道の腫瘍についての報告です。

 

いつもの部屋で清水先生と向かい合うと、ふと、背後に稲垣さんが居るような気分になることがあります。

 

3年前のレジリエンス外来は、私にとって、とても特別なものになりました。

 

「がんに罹患した=死と直面したことは、人生のほんの一部、ひとつのエピソードにしか過ぎない」

 

私がそう思えるようになったのは、清水先生のカウンセリングはもちろんのことですが、

文筆家である稲垣麻由美さんが同席したカウンセリングであったかかも知れない。

 

ふと、そう思いました。

 

実は今日のカウンセリングにも、研修医が同席していました。

 

清水先生と一対一、ワン・オン・ワンよりも、第三者が同席する方が、より客観的になります。

 

「食道の腫瘍の細胞検査の結果は、10月30日頃になるようです。それまでにできることはありません」

 

そんな清水先生への報告も、

「コントロールできないことを、気にしても仕方ない」

ということを、納得して口にしていることがわかります。

 

3年前の私には、どうしてもできないことでした。

私は、変わりました。

 

「そのような変化を「成長した」という言葉を好まない方がいます」

清水先生の言葉はとても共感します。

 

成長するということは、「かつての世界の延長にいる」ということです。

そうではなく、私は新しい世界を生きているのです。

 

「成長という言葉ではなく、「新しい世界を生きていますね」と伝える場合もあります」

清水先生にはお見通しです。

 

あの頃、稲垣先生にはどんな世界が見えていたのだろうか?

 

そんなことを頭の片隅に考えながら、清水先生の外来受診を終えました。