「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.12

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お能では、ワキという観客の代表役が、

シテという主人公から、彼や彼女の「物語」を聞き出します。

主人公は死者で、自分の生前の物語を語ります。

その構造が、清水先生のカウンセリングと同じように感じるのです。

つまり、清水先生の質問に答えることで、

終わりを意識した上で、

終わった視点から自分の人生を見つめたら、

自分の物語は輝いて見えるような気がするのです。

お能の主人公の物語のように。

レジリエンス外来を受診する人は

●がんに罹患してから生きがいが感じられない

●これからの人生に希望があまりない

●自分ががんに罹患したことが受け入れられない

そんな思いの人たちが、

清水先生のレジリエンス外来を受診します。

がんに伴う苦痛な症状には、疼痛などの体の苦痛と、気持ちの落ち込み(うつ)や、不安感などの苦痛があります。

そんな苦痛に苦しむ人たちが

清水先生のレジリエンス外来を受診します。

私も「そんな人たち」のひとりなのです。

能舞台を見ると、松の木が見えます。

あの松は、舞台の正面にある松の木が写って見えているのです。

ですから、能楽師は正面の松と背後の松にはさまれて、舞うことになるのです。

私は、親友の能楽師金井雄資師がおかげで、

清水先生のレジリエンス外来をまっすぐに受診することができました。

けれども、誰でも「自分が一番可哀想。なのです。

私も、「私が一番可哀想」だと思っていました。