「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.11

f:id:syukugami:20190805211740j:plain

清水先生のカウンセリングを受けた時。

「死生観」という言葉を聞いた時。

何より、残りの時間には限りがある。

ということに気づいた時。

私は「夢幻能」を思い出しました。

「生者と死者の邂逅」

そう説明される日本の古典芸術能楽は、

独自の劇構造を持つ総合芸術です。

演劇の主人公は「死者」です。

その主人公は観客の代表でもある相手役に、

「自分の死によって完結した物語」を語ります。

自分が残してきた念を語ります。

お能は、鎮魂歌なんだ。

鎮魂歌ということは、

つまりは、生命讃歌ということなんだ」

表があるからこそ、裏がある。

光があるからこそ、闇がある。

死が待っているからこそ、生きる命がある。

白か黒かではなく、灰色の世界もある、ということ。

「有限なものだからこそ、

意志を持って繋げていけば、

無限に繋げていくことができる」

私は、この親友にさまざまなことを教わりました。

私は、この親友に支えてもらいました。

私は、この親友に命を救ってもらいました。

私の親友、金井雄資は「能楽師」という職業についています。