「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.13

私の「遺言」は、 私が残念に思い残すことを、

書き残すことが、目的です。

 

そのことで、この世を去る私は慰められます。

 

私を見送ってくれる人たちも、慰められるかもしれません。

 

しかし、私は、私のことを知らない人にも伝えたいことがありました。

 

精神腫瘍医」の存在。

がんは、想像できないほど痛いこと。

その痛みは身体だけでなく、精神をも蝕むこと。

その痛みは、患者だけでなく、家族や友人にも広がること。

 

がんを罹患しても、死ぬまでは生きている。

生きているからには、バッドエンドにはならない。

 

そのことを、私を知らない人にも伝えたい。

 

それが、私が、残りの時間を使ってやりたいこと、に、なりました。

 

私の「遺書」は、がん患者の「鎮魂歌」ではなく、

死と直面した人々の「生命讃歌」でなければならない。

 

私は、私の「遺書」を託す「文筆家」を選ぶ必要に迫られました。

 

時間の無駄が許されない私でしたが、

不思議と不安はありませんでした。

 

私には、意中の「文筆家」がいましたから。

 

ただ、「文筆家」稲垣麻由美さんに託す前に、

私には必要な手続きがありました。