コントレイル65
┿痛みを薬でコントロールすることへの抵抗感
稲垣麻由美さんの著作「人生でほんとうに大切なこと」(KADOKAWA)の第七章に、鎮痛剤についての記述があります。
この中に、
「薬で消えた痛みは、どこに行くのか」
という私と清水先生との問答があります。
痛みを耐えている時間は、無駄な時間です。
ですから、鎮痛剤で痛みを鎮めることは正しい選択です。
このことは、清水先生だけでなく、緩和ケアの担当医からも産業医からも言われます。
私は14ケ月に渡る化学治療のおかげで、
五年生存率五%の肺がんを、五年にわたって抑えることができています。
五年にわたって戦っています。
そして、これは稀に起こることなのでしょうが、
鎮痛剤の副作用で、新たな痛みが生まれてしまいました。
さらには、薬を止めると「離脱症状」で、痛み、悪心、寒気や冷や汗などの症状が現れます。
「命と引き換えの痛みとはいえ、こんなに苦しいことがいつまで続くのか」
と、思うことがあります。
そんな時、この「人生でほんとうに大切なこと」を読み返しています。
この本は私の「生きた証」でもありますが、
「希望の証」でもあります。
そして、私が希望を持てるまで並走してくれた清水先生を思い、
一人でも多くのがん患者やその家族が、精神腫瘍医と出会うことができるように、
精神腫瘍医の存在を伝えたいと思います。