レジリエンス外来.55
「でも、それじゃ「白雪姫と七人の小人」じゃないですか?」
いよいよ出版が決まりました。
稲垣先生は編集の清水能子さんに「何度も書き直しを命じられながら」の執筆中です。
応援団は、「販売戦略会議」と称する飲み会です。
「主役は千賀さんでしょ?
落ち込んでいた千賀さんが清水先生の魔法で、お城の舞踏会に出られるようになりましたとさ、という、シンデレラ的ハッピーエンドだったはず」
「それなのに、七人の患者の一人って、おかしいですよ。白雪姫ですらない」
私たちの出版物は、
清水先生と七人の患者との対話を通して、
「命の限り」を知った人たちが、それぞれに、
自分の人生でほんとうに大切なものは何か?
を探してゆく物語。
に、なっていました。
「千賀さんの扱いは、他の人の2倍以上」
そう言われても、ピンときませんでした。
まさに、シンデレラのつもりだったのが、
フタを開けたら白雪姫の七人の小人の一人でした。
まさに「話が違う」のではないか?
「販売戦略会議」は風雲、急を告げようとしました。