レジリエンス外来.65
本が出版されてしばらくしてからのことです。
清水先生から私たち宛に「嬉しい報告メール」が届きました。
「人生でほんとうに大切なこと」の本を読んだ出版者の方から、「生きることについて考えるような本を出しましょう」というお手紙をいただきました」
というメールです。
メールには、野本有莉さんの美しい文字で書かれたお手紙がPDFで添付されていました。
「朋あり、遠方より来たる また 嬉しからずや」
まさに、志を同じくする、そう、同志が声をあげてくれたことに、私たちのチームは歓喜に沸きました。
「この本は、がんの本ではない」
「この本は、可哀想な人たちの本ではない」
「この本は、未来のために必要な本だ」
私たちが、稲垣麻由美さんに託したことを、
稲垣麻由美さんが、着実に確実に込めた想いを、
私たちが、望むとおりに受け止めてくれた人がいた。
そのことがほんとうに嬉しく思われたからでした。
それから、清水先生と稲垣さんと野本さんの間で、
どのようなやりとりがあったのかは、まったく知りません。
ただ、清水先生から、
「あとがき」に、千賀さんや稲垣さん、「人生でほんとうに大切なこと」を書きたいのだけれども、問題はないですか?」
という問い合わせをいただきました。
もちろん私には、問題ありません。
「千賀さんに共感する多くの人の輪を原動力に」
「がん患者やその家族の心(精神)が、すこしでも、安らかなものになるならば、どれほどの人が救われるだろう。精神腫瘍医の存在を、患者や家族に伝えたい」
その想いの中心に私がいたのは、
私がその「証拠」だったからでした。
「死ぬことばかり考えていた千賀さんが、生きることを考えるようになった一部始終を、私は見ていました」
応援団長の大澤さんは胸が熱くなるような笑顔で、力強く断言します。