「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル95

清水先生は、私の”希望”についての話に対して、以下のように応えています。

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話

 

「例えば、私の中でも千賀さんと同じかもしれませんが、

 素晴らしい業績を上げて注目されたいとか、

 この組織の中で出世したいとか、

 そういう気持ちがないわけではないですけれど

 それって、どちらかというと、ほんとうに自分がしたいことっていうよりもむしろ、

 自分を取り巻くいろいろなものに応えようとしているところがある気がするんです。

 もし、私の命があと一年しかないというふうになったとしたら、

 期待とか、応えるとか、そんなことはどうでもよくなって、

 家族とゆっくり過ごす、という気持ちになると思います。

 社会に貢献したいとか、そういうのが全て虚栄心によるものとは

 決して思っていないんですが、

 ほんとうにしたいことっていうのは、すごく、もっと近いところにある

 のではないでしょうか」

 千賀さんは清水先生の言葉に少し驚き、そして深く安堵した。

  以上、稲垣麻由美著「人生でほんとうに大切なこと」より抜粋

 

 この後、清水研先生は文教社から「もしも一年後、この世にいないとしたら」

 という著作を出版されます。

 「人生でほんとうに大切なこと」を読んだ文教社の編集者野本有莉さんが、

 清水研さんと稲垣麻由美さんと一緒につくった本は

 発行冊数5万部を越えるベストセラーになります。

 

もしも一年後、この世にいないとしたら。