コントレイル.4
「しかし、機嫌が良い、というのは、別に「明鏡止水の境地」というわけではありませんので、機嫌はわりと簡単に悪くなります」
清水先生がうなずきます。
「簡単に良くなったり、悪くなったりするということは、「コントロールすることもできる」ともいえます」
清水先生は、私の我田引水に苦笑しながらうなずきます。
「私は毎月、月に一度、私のご機嫌のバランスの確認をしてきたのだ、ということに気づきました。
いや、清水先生との時間を積み重ねて、私にとって大切なことは、「私のご機嫌が良いこと」ということに至りました。
私は清水先生にお辞儀をします。
「清水先生にアドラー心理学を教えていただきました。「他人からどう思われるか」ではなく「千賀さんはどう思いますか?」とね。
ところで宮沢賢治が農学校の教師時代に、生徒たちに「人間は何のために生まれてきたのか?」という質問をしたそうです」
私の話はあちこちに彷徨います。
しかし、清水先生は絶対についてきてくれます。
清水先生は絶対に私を独りぼっちにはしません。
「宮沢賢治の答えは、「人間は幸せになるために生まれてくる」というものだったそうです。素敵な答えです。聞くたけで幸せになれます」