「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル.4

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「しかし、機嫌が良い、というのは、別に「明鏡止水の境地」というわけではありませんので、機嫌はわりと簡単に悪くなります」

清水先生がうなずきます。

「簡単に良くなったり、悪くなったりするということは、「コントロールすることもできる」ともいえます」

清水先生は、私の我田引水に苦笑しながらうなずきます。

「私は毎月、月に一度、私のご機嫌のバランスの確認をしてきたのだ、ということに気づきました。

いや、清水先生との時間を積み重ねて、私にとって大切なことは、「私のご機嫌が良いこと」ということに至りました。

私は清水先生にお辞儀をします。

「清水先生にアドラー心理学を教えていただきました。「他人からどう思われるか」ではなく「千賀さんはどう思いますか?」とね。

ところで宮沢賢治が農学校の教師時代に、生徒たちに「人間は何のために生まれてきたのか?」という質問をしたそうです」

私の話はあちこちに彷徨います。

しかし、清水先生は絶対についてきてくれます。

清水先生は絶対に私を独りぼっちにはしません。

宮沢賢治の答えは、「人間は幸せになるために生まれてくる」というものだったそうです。素敵な答えです。聞くたけで幸せになれます」