レジリエンス外来.67
もちろん、人生に勝ち敗けはありません。
けれども、
「自分の身体は、けしてがんに勝つことは出来ない」
と知った時の敗北感は、
人を俯かせるには充分だと思います。
いや、膝を屈してしまいかねません。
かつての私のように。
幸いなことに、私は国立がん研究センター中央病院の患者なので、精神腫瘍科の清水研先生と出会うことができました。
ほんとうに、幸いなことに。です。
なぜなら、精神腫瘍科のない病院も沢山あります。むしろ、精神腫瘍科がない病院のほうが多いのです。
もしも、私が清水先生と精神腫瘍医と出会うことがなかったならば、私はどうなっていたでしょうか?
もしかしたら、私は、今ごろは、この世に居なかったかも知れません。
人は絶望感だけでも命を失ってしまう。
あの頃の自分の世界を振り返ると、
そんなことを考えてしまいます。
そう思うからこそ、
精神腫瘍医の存在をがん患者やその家族に知らせたい。
私は、そう思うのでしょう。