「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル67

清水研先生と「日本人の死生観」を語る時、私はたまたま入院する時に手にしたこの本について話しました。

別れの言葉は、3つのタイプに分類されるようです。

⑴神があなたと共に(Good-bye.Adieu,Adios)

⑵再会の約束(See you again,再見)

⑶お元気で(Farewell。安寧)

しかし、「さようなら」は、どのタイプにも属しません。

すでに10世紀の頃から、日本人は「左様なら(ば、しかたありませんね)」という

不思議な諦観を示す言葉で別れてきた…。

という「さようなら」という言葉の説明から始まります。

日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか (ちくま新書)

日本人はなぜ「さようなら」と別れるのか (ちくま新書)

「さらばよと 別れし時に いはませば 我も涙におぼほれなまし」 伊勢(後撰和歌集

 あの時、あなたが「さらばよ」ときちんと別れてくれていてならば、私も涙に溺れたでしょう。けれども。あなたははっきりと別れなかった。だから私は涙を流せなかった。

 きちんと別れを告げなかったばかりに、あるいは、別れを受け入れることができないばかりに、遺された者が苦しむことになる。

 

 この本を読んだ私は、肺がんの宣告を受けた後に、大切な人たちに別れを告げて回りました。

 忘れないで欲しい。

  あるいは。

 長く悲しまないでいただきたい。

  あるいは。

 

 五年生存率の五年目です。

 一度、きちんと振り返って、次に進むことにします。

 

 ちなみに、がん宣告を受けたのは2015年6月24