「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル70

100万回生きたねこ (講談社の創作絵本)

 

━100万年も しなない ねこ が いました。

 100万回も しんで 100万回も 生きたのです。

 

という文で「100万回生きたねこ」は始まります。

 

ねこが死んだ時、ねこを可愛がっていた100万人の人たちは泣きましたが、

ねこは1回も泣きませんでした。

 

ねこは様々な人に飼われますが、誰のことも嫌いでした。

そのねこが、白いねこと出会い、いっしょにいつまでも生きていたいと思います。

100万年で初めてのことでした。

けれども白いねこは年老いて死んでしまいます。

ねこは初めて泣きます。100万回も泣きます。

そして、ねこは白いねこの隣で死にます。

 

━ねこは もう けっして いきかえりませんでした。

 

という文で「100万回生きたねこ」は終わります。

その文の隣に、それまでは絵の中心に描かれていたねこがいない、

野原の絵が描かれています。

 

「ねこはいなくても、この世に変りはないのだな」

 私は絵本を閉じました。

「自分が死んでも、この世界は終わらない」

 そのことを改めて考えました。

 

清水研先生から「死生観」という言葉を聞いたのは、そのような時でした。