コントレイル70
━100万年も しなない ねこ が いました。
100万回も しんで 100万回も 生きたのです。
という文で「100万回生きたねこ」は始まります。
ねこが死んだ時、ねこを可愛がっていた100万人の人たちは泣きましたが、
ねこは1回も泣きませんでした。
ねこは様々な人に飼われますが、誰のことも嫌いでした。
そのねこが、白いねこと出会い、いっしょにいつまでも生きていたいと思います。
100万年で初めてのことでした。
けれども白いねこは年老いて死んでしまいます。
ねこは初めて泣きます。100万回も泣きます。
そして、ねこは白いねこの隣で死にます。
━ねこは もう けっして いきかえりませんでした。
という文で「100万回生きたねこ」は終わります。
その文の隣に、それまでは絵の中心に描かれていたねこがいない、
野原の絵が描かれています。
「ねこはいなくても、この世に変りはないのだな」
私は絵本を閉じました。
「自分が死んでも、この世界は終わらない」
そのことを改めて考えました。
清水研先生から「死生観」という言葉を聞いたのは、そのような時でした。