「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

5%の5年間 死を受け容れる1

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話

人は必ず死にます。

 

そのことを、理(ことわり)として理解しているつもりでも、

現実のこととして受け容れることは、難しいことです。

しかし、5年生存率5%の診断を受けた私には、

死を受け容れる以外の選択肢はありませんでした。

 

とはいえ、私が死んでも、居なくなっても、世界は変わらない。

私が居なくなって、影響を受けるとしたら、その対象は、私の家族でしょう。

 私が居なくなれば、私の妻や子供たちは、私が居ることで得ることができる

物理的や精神的な支援を受けることができなくなります。

そのことは、頼れる父であり、夫でありたいと願って生きてきた私にとって、

とても残念なことでした。

 

それでも、5年以内に95%の確率で、私は死んでしまいます。

人は必ず死ぬ。そして、人は死んだら、どうなるのか?

私は死を受け容れるにあたって、死後の自分のことを考えはじめました。

 

「人は死んだらゴミになる」と云った人もいましたが、

私の知識では、以下の3つの説があるように思われました。

①存在が消滅してしまう。(ゴミになるを含む)

②霊魂が残り、天国や地獄に行くなど、輪廻転生を繰り返す。

③霊魂が残り、近くの『他界』から子孫を見守っている。

 

 ①は、消滅してしまえば何もかもお終いになる。

 私が居なくなっても世界は変わらない。

 淋しいような気もしますが、私がコントロールできることではないので、

 諦めもつくような気がします。

 

②は、宗教が関わってきそうです。

まずは、霊魂の存在を肯定する必要があります。

つまり、「お化けはいる」ということを信じる必要があります。

輪廻転生を繰り返すというのは、仏教の教えでしょう。

次に人間に生まれ変わった時が楽しみですが、

人間になる確率はどのくらいあるのか見当もつきません。

それに、「死を受け容れる為の信心」というのも

いかにも「付け焼き刃」感が否めません。

 

しかし、③に思い至った時、

私の二人の親友の会話を思い出しました。

私の二人の親友とは、金井雄資師と大澤健次さん

そう、『人生でほんとうに大切なこと』で著者である稲垣麻由美さんから

謝意を伝えられているお二人です。

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