「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル32

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「会社のお荷物」になるか。

「家族のお荷物」になるか。

2016年の私は、その二択しかないように思います。

当時の私は、強くなり続ける痛みと、

強くなった痛みを鎮めるために、

種類と量が増えた鎮痛剤の副作用に苦しんでいました。

鎮痛剤の副作用には、めまいの他に記憶障害のようなものもあります。

「これでは自分は会社に貢献できない」

それまでは人の役に立っていたつもりの私には、耐えられない思いでした。

「俺なら辞める」

善意から、そう声をかけてくれる人もいました。

「そうか。「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」という歌もあったな」

私は「会社のお荷物」になることに、耐えられそうにありません。

とはいえ、会社を辞めたなら、「家族のお荷物」になることになってしまいます。

そんな私に大澤さんは、

「千賀さんは大丈夫だから」

と繰り返し声をかけてくれました、