コントレイル32
「会社のお荷物」になるか。
「家族のお荷物」になるか。
2016年の私は、その二択しかないように思います。
当時の私は、強くなり続ける痛みと、
強くなった痛みを鎮めるために、
種類と量が増えた鎮痛剤の副作用に苦しんでいました。
鎮痛剤の副作用には、めまいの他に記憶障害のようなものもあります。
「これでは自分は会社に貢献できない」
それまでは人の役に立っていたつもりの私には、耐えられない思いでした。
「俺なら辞める」
善意から、そう声をかけてくれる人もいました。
「そうか。「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」という歌もあったな」
私は「会社のお荷物」になることに、耐えられそうにありません。
とはいえ、会社を辞めたなら、「家族のお荷物」になることになってしまいます。
そんな私に大澤さんは、
「千賀さんは大丈夫だから」
と繰り返し声をかけてくれました、