レジリエンス外来.18
私は沢山の「物語」と書きましたが、「エピソード」と表したほうが良いかもしれません。
私の少年時代。
私の思春期。
私の仕事。
私の家庭。
私の友人。
1から4のどの問いに対しても、
沢山のエピソードがありました。
「私には沢山のエピソードがある」
そして、問い5と6
「病気になる前は、どのようなことが大事だったか?」
「病気になる前は、どのようなことが嫌いだったか?」
「病気」が、私の物語を区切ります。
私だけでなく、多くの人の物語を区切ります。
それが「がん」という病気なのです。
病気になる前の私の物語を、
清水先生も稲垣先生も、黙って聞いていました。
「病気にならなかったら、私はこの人たちの前で、自分の過去を振り返ることもなかっただろうな」
私は頭の片隅でぼんやりと、そう思いながら、病気になる前の物語を語りました。
「死なないつもりで生きていた頃」の物語を。