「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス外来.18

私は沢山の「物語」と書きましたが、「エピソード」と表したほうが良いかもしれません。

私の少年時代。

私の思春期。

私の仕事。

私の家庭。

私の友人。

1から4のどの問いに対しても、

沢山のエピソードがありました。

「私には沢山のエピソードがある」

そして、問い5と6

「病気になる前は、どのようなことが大事だったか?」

「病気になる前は、どのようなことが嫌いだったか?」

「病気」が、私の物語を区切ります。

私だけでなく、多くの人の物語を区切ります。

それが「がん」という病気なのです。

病気になる前の私の物語を、

清水先生も稲垣先生も、黙って聞いていました。

「病気にならなかったら、私はこの人たちの前で、自分の過去を振り返ることもなかっただろうな」

私は頭の片隅でぼんやりと、そう思いながら、病気になる前の物語を語りました。

「死なないつもりで生きていた頃」の物語を。

f:id:syukugami:20190814185034j:plain