レジリエンス外来.39
私と清水先生との出会いは、稲垣麻由美さんの
「人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの会話」で詳しく再現されています。
当時の私にとっては
「どうすれば死を受け入れることができるのか?」
ということは問題ではありませんでした。
そんなものは受け入れるしかないからです。
私は「正しい死に方」を知りたいと思っていました。
私は、清水先生が、当時、3000人を超えるがん患者と対話したことを知りました。
そんな清水先生ならば、多くの人々が死ぬまでに何をしたのかを知っているはずです。
何しろ、清水先生は、日本で一番多くの「死に直面した人たち」の話を聞いた人ですからね。
がんは死ぬまでに時間がある病気です。
がん患者には、死と直面する時間があります。
そうです。清水先生は、私みたいな人間に3000人に会った人なのです。
清水先生ならば、「正しい死に方」を教えてもらいたいと思いました。
私は「正しい死に方」で死にたいと思っていました。
それがどんなものか、見当もつきませんでしたが、
どうせ受け入れるしかないのならば、
私は「正しい死に方」で死にたいと思っていました。
私は、家族や友人達から誇れるような死に方をしたかったのです。
しかし、清水先生は、「正しい死に方」を教えてはくれませんでした。
清水先生からは、
「そんなものは、ない」
と、いうことを、気づかされることになります。