コントレイル.2
「もしも一年後、この世にいないとしたら」の売上げ?が、28000部を突破したということを、書店のPOPで知りました。
この成功の理由のひとつは、がん専門の精神科医、つまり、精神腫瘍医である清水研先生を、「死についてよく知る人物」とブランディングできたことではないか?
と思います。
「人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話」は、
精神腫瘍医の存在をがん患者や家族たちに知らしめる
ということを目的として作られました。
ですから、清水研先生とがん患者の対話=精神腫瘍医の治療事例集となりました。
実際、複数の臨床心理士から「カウンセリングの教科書」として絶賛されました。
もちろん、
「がんの本ではない」
「可哀想な人たちの本ではない」
「これは人生でほんとうに大切なことに気づいた、幸せな人たちの物語だ」
という本でもあります。
ありますけれども、「精神腫瘍医をご存知ですか?」から始まります。
一方で、「もしも一年後、この世にいないとしたら」は、沢山の「死と直面した人たち」=がん患者と対話した精神科医が、生きることについて具体的に語る本です。
読者は、清水研という人は、国立がん研究センター中央病院で3500人を越えるがん患者を治療してきた精神科医という説明で、
「清水研=死に精通した賢者」
と理解したに違いないと思います。
あの日の私のように。
私たちの日常から、「死ぬこと」は、とても遠いところにあります。
もしも、「死ぬこと」について、何か教わるとしたら、「宗教家」ではなく、「科学者」に教わりたい。
私ならば、そう思います。
清水研という科学者は、時代が必要とする「賢者」である。
28000人が、そう思ったのかもしれません。
あの日の私のように。