「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

コントレイル97

私と清水先生との対話は続きます。

 

「千賀さん、どんな人にも自分だけの物語があります。

 かけがえのない一人ひとりの物語です」

「先生は、患者さんが思い残すことなく逝くことができれば、報われますか?」

「私たちは自分たちの達成感を診察の目的にしてはならないと思っています。

 ただ、報われたいか?と問われれば、報われたいですよ」

 清水先生はちょっと笑って、また続ける。

「でも、それは私達の目的ではありません。

 私達は、相談に来られる方に役立つこと、を目的にします」

 

人生でほんとうに大切なこと がん専門の精神科医・清水研と患者たちの対話 より

 

2017年⒑月⒚日に初版が発行されたこの本は、

2020年8月5日に第3版が発行されました。

 

その間、私の腫瘍は大きくならないかわりに小さくもなりません。

相変わらず、反感神経を麻痺させて声帯を閉じさせずにいます。

おかげで、声がかれたりビブラートがかかったり。

 

それでも生きているということは、ほんとうにありがたいことです。

生きているということは、バッドエンドではない。

ということです。

私の物語は、まだ途中です。

これからも続きます。

 

もしも一年後、この世にいないとしたら。

がんで不安なあなたに読んでほしい。 自分らしく生きるためのQ&A