「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

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がん専門の精神科医としての清水先生に出会った時

私は死ぬことばかりを考えていました。

 

けして、死にたいと思っていたわけではありません。

しかし、死を受け容れるしかない

と思い込もうとしていました。

 

私を縛りつけたのは「5年生存率5%」という数字でした。

統計上、私は5年以内に95%死ぬのです。

 なんとかして、死を受け容れねばなりません。

 

「是非もなし」

織田信長本能寺の変の際に言った、

とされる言葉を飲み込もうとしていていました。

 

「散りぬべし 時知りてこそ よの中の 花も花なり 人も人なり」

細川ガラシャの辞世の句を飲み込もうとしていていました。

 

私はわずかな残された時間を大切に使いたいと思っていました。

そのために、私は冷静にならねばなりません。

 

「マイナスである自分をゼロまで引き上げる」

 

私はその方法を必死に探っておりました。

私には残された時間が、砂時計の落ちる砂のように見えました。

そう、思えました。

 

「「死生学」という学問のことをご存知ですか?」

奈落の底から見上げる私に、清水先生は、そう尋ねていました。