「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

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「死生学」とは、死についての科学だそうです。

ネットで調べると

──「死生学」が対象とするのは、人間の消滅。死である。

とありまして。

「死ぬと人間は消滅するのか」

私は衝撃を受けました。

「死んだらどこにいくのだろうか?」

私はそんなことを考えていました。

しかし、死=消滅だという。

生が1で、死がゼロ。

死んだら消滅するのならば、どうにもならない。どこにもいかない。

 

この当時の私は、いわゆる「適応障害」のような症状を示していました。

何をしても、泣いてばかりいましたから。

 

「先生、人は死ぬと消滅してしまうのでしょうか?」

清水先生は私の問いには答えずに話しかけてきます。

「千賀さん、死にざまとは、その人の生きざま、ともいいます」

清水先生は話を続けます。

「死生学とは、死の観点から『生きる』ということを考える学問といえます」

それならば、少し、理解できる気がしました。

 

人は必ず死にます。

死は必ず訪れる未来です。

ならば、

死の観点から見た『生きる』ということは、まさに『今、この瞬間』のこと。

「死生学を学ぶと、死生観を持つことができるようです」

 

死生観という言葉から連想することがありました。

それは、清水先生とのやり取りからの連想でもありました。

 

「先生は『お能』をご存知ですか?」