レジリエンス3
「死生学」とは、死についての科学だそうです。
ネットで調べると
──「死生学」が対象とするのは、人間の消滅。死である。
とありまして。
「死ぬと人間は消滅するのか」
私は衝撃を受けました。
「死んだらどこにいくのだろうか?」
私はそんなことを考えていました。
しかし、死=消滅だという。
生が1で、死がゼロ。
死んだら消滅するのならば、どうにもならない。どこにもいかない。
この当時の私は、いわゆる「適応障害」のような症状を示していました。
何をしても、泣いてばかりいましたから。
「先生、人は死ぬと消滅してしまうのでしょうか?」
清水先生は私の問いには答えずに話しかけてきます。
「千賀さん、死にざまとは、その人の生きざま、ともいいます」
清水先生は話を続けます。
「死生学とは、死の観点から『生きる』ということを考える学問といえます」
それならば、少し、理解できる気がしました。
人は必ず死にます。
死は必ず訪れる未来です。
ならば、
死の観点から見た『生きる』ということは、まさに『今、この瞬間』のこと。
「死生学を学ぶと、死生観を持つことができるようです」
死生観という言葉から連想することがありました。
それは、清水先生とのやり取りからの連想でもありました。
「先生は『お能』をご存知ですか?」