「人生でほんとうに大切なこと」 精神腫瘍医との対話

「5年生存率5%」のがん患者が、がん専門の精神科医と共に歩んで来た「絶望の淵から希望の星まで」の道程

レジリエンス.21

この頃、私は会社への復職を果たしていました。

といっても、産業医の指示で、勤務時間を短縮した「短時間勤務」でした。

さらに会社は、私に「重要であるが、緊急ではない案件」を担当させてくれました。とりあえずの「締め切りがない」案件の検討です。

私は大変恵まれた環境で、復職することができました。

にも関わらず、当時の私は「適応障がい」のような症状を見せていました。

泣くのです。

私は、泣くのです。

しかも、声を抑えきれずに。

私は、主治医の先生からも、産業医の先生からも、

「痛みや、薬の副作用からの体調不良もある。

とにかく、右肩上がりの回復、というわけにもいかない。そのことは理解しておいてください」

と、繰り返し説明していただきました。

私は、それらのことを理解したつもりでした。

けれども、痛みやそれを止める鎮痛剤の副作用は、

私の集中力や思考力を奪います。

できるはずのことが、できません。

できていたことが、できなくなっていました。

私はポンコツになっていました。

私は毎日毎日、会社に行きました。

そして、毎日毎日、自信を失っていっていました。

それらのことを、私は泣きながら、

清水先生と稲垣先生に話していました。

たとえワークのお題から脱線しても、

清水先生は、とりあえず、話を聴いてくださいます。

そして、稲垣先生は、そんな清水先生を見つめていました。

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